流通EDIのかなめ、汎用標準バーコード
GS1-128(EAN-128) 【2】 汎用標準バーコード・GS1-128(EAN-128)の概要【2】
財)流通システム開発センター佐藤 誠
1999年3月31日掲載
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はじめに | ||
GS1-128(EAN-128)はその標準化から既に10年余り経過した。その間、EAN128のアプリケーションの範囲拡大に応じ、AI(Application Identifier)が追加定義されている。 今回は国内外のGS1-128(EAN-128)の利用事例を紹介する。 まず、GS1-128(EAN-128)の利用機能を分類すると大きく2つに分けることができる。 一つは商品の個別の識別、例えば、商品の重量、ロットナンバー、賞味期限への利用である。ハム、ソーセージといった個別の重量が異なる商品の管理に、日本を始めオーストラリア、ニュージーランド、ヨーロッパ地域で利用されている。また、最近注目されているISO9000シリーズに対応した商品の管理に対応するために、医薬品、食肉で利用されている例も報告されている。 もう一つは荷物の識別への利用である。例えば、日本のチェーンストアート取引先との間で段ボールやオリコンに貼付するSCM(Shipping Container Marking)ラベルや、運送業における配送品の識別番号として利用されている。配送品の識別は個別の配送品と並行して、商品がどこにあるのかその追跡管理に利用されている例も報告されている。 第1表は日本を始めとする世界各国におけるGS1-128(EAN-128)の導入事例をまとめたものである。 |
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第1表 GS1-128(EAN-128)導入事例一覧表
(1998年12月現在) |
アプリケーション | 実施国 |
グローサリー、菓子、テキスタイル等へのSSCCの利用 | 日本、アメリカ、オーストリア、オーストラリア等 |
国際物流(ヨーロッパ圏)における配送品追跡とEDIシステム | イギリス |
異なる輸送ノード間(鉄道、船、トラック)のSSCC(Serial Shipping Container Code)による配送品追跡 | ニュージーランド |
医薬品、医療器材、商品の有効期限、ロット番号による個体管理 | アメリカ、ヨーロッパ |
酸素ガスボンベ | イギリス |
食肉サプライチェーンへの利用(食肉牛の解体から消費までの個体管理) | EU、EAN、オーストラリア、ニュージーランド |
ハム・ソーセージ 重量・賞味期限・ロット番号管理 |
日本、スイス、オーストラリア ニュージーランド、オーストリア |
植栽への利用実験 | タイ |
皮製品の商品管理実験 | タイ |
熱帯魚の個体管理 | シンガポール |
携帯電話の製造番号による個体管理 | ヨーロッパ |
日本における利用事例 | ||
日本ではチェーンストアーのSCMラベルによる検品システムと冷凍・チルド商品への利用例が見られる。 (1)チェーンストアにおけるSCMラベルによる検品システム チェ-ンストアとその取引先との間でSCMラベルとASN(Advance Shipping Notice)を組み合わせ、チェーンストアー物流センターの受入検品を省力化するシステムが稼動している。本システムは1993年4月、日本チェーンストア協会が研究を行いまとめたものに、今年4月、業務の運用から見直しを行ったものである。 (2)冷凍、チルド食品、ハム・ソーセージへの適用例
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海外の利用事例 | ||
海外では食品を始め運送業界、医療業界などでGS1-128(EAN-128)の利用が始まっている。
(1)食品業界 1.アメリカ 2.オーストラリア
1.アメリカ 2.ヨーロッパ (3)食肉サプライチェーン EANインターナショナルは食肉のサプライチェーン上でGS1-128(EAN-128)とEANCOMメッセージを利用したデータベースシステムを提案し、ヨーロッパ圏の各国のコードセンターとEUとの間で協議中である。 第3図 2.システム構想 この構想は牛から食肉加工センター、小売業を経て消費者へ至る過程の追跡を大きく分けて、データベースシステムと食肉の識別を行うバーコードシステムの2つから構成される(第3図参照)。
各プロセスでは前工程の情報を参照でき、入庫した食 肉の履歴のチェックを行い、 問題がない牛かどうかデータベースを通じて確認ができる。あ る 加工を終了するとその工 程のバッチナンバーや場所情報を新たにEAN128ラベルで作成し商品に添付する(図4参照)。合わせて データベ-スに登録を行う。小売業は各段階のデータベースを参照しながら工程をさかのぼって、どの国のどの牛を解体してできた牛肉なのかを把握することができる。
以下では各段階におけるGS1-128(EAN-128)バーコード体系を紹介する。 A. 牛 B. 部位(Primal Cut) C. 加工センター D. 小売業
(5)ガスボンベ管理(イギリス) |
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今後の利用方向 |
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GS1-128(EAN-128)は以上のように各国で利用事例が報告されて、その利用が徐々に拡大しつつある。 日本では医薬品ト医療機器の2業界においてGS1-128(EAN-128)を商品ラベルを印刷する方向で現在業界団体を中心に審議をすすめており、この3月には方向性が示される予定である。 一方、海外ではEAN本部で、日本でコンビニエンスストアの公共料金、通信販売の公共料金収納システムで利用されているバーコード付き収納帳表をGS1-128(EAN-128)コードでデザインすることを検討している。 海外事例で紹介したような食肉管理、物流の配送品の追跡管理は今後、その利用地域が一国内から国際的に利用が拡大されると思われる。関係する日本の関連企業に影響を及ぼすことも予想される。 今後GS1-128(EAN-128)のアプリケーションは、国内はもとより国際的な利用動向の把握が必要になるであろう。 |
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